中学生でも理解できるビジネスモデル把握手法「利益分解法」

マーケティング思考

どうも、路傍のおっさんです。Twitterに書いたおっさんのオリジナルマーケティング思考の10個書きたい事の4つ目です。残り88日以内に10個全て書けるかどうか頑張ります。(2021/6/19現在)

利益分解法とは

利益分解法とは、利益を分解していく方法です。

小難しい言葉を使うと「KGIから各要素を抜き出してKPIを設定していく」というような表現になると思いますが、私にはよく分からない言葉です。やっている事はかわらないと思っています。

ビジネスモデルの把握は重要なのか

少し話が変わりますが、マーケティング思考の勉強を始めたときにビジネスモデルの理解というのがありました。正直、自分のビジネスモデルなんて実際に働いているのだから何となく理解していると思っていましたし、「結局集客でしょ?」という安易な結論を持ってました。

マーケティング思考を学んでいく中で、「結局集客だ」という結論も自分の中にはあります。ただ、前者の「集客」と後者の「集客」は違って、明確に違って何が違うのかも言語化はできていますが、利益分解法を進めていく上で両者の「集客」の違いがわかると思いますので、ここでは、割愛します。

「ビジネスモデルの把握は重要なのか」もしくは「利益分解法は重要なのか」という問いに対して、私の答えは同じ集客という結論になったとしても、重要であるというのが私の答えです。

利益分解法の分解のやり方

利益を分解するので、樹形図を使っての分解や、マインドマップを使っての分解も可能です。ただ、私は数式を使っています。私は最終的に数字を当て込んだ時に、そのまま計算式が使えるので数式のやり方をお勧めします。あと、影響がイメージしやすいという利点もあります。樹形図やマインドマップで慣れている方は無理矢理に数式に合わせる必要はないですが、これからのどれを使って分解しようと考えている人で、数学の因数分解に抵抗がない方は数式による利益分解法をお勧めします。

早速、利益分解法の一般的な例を行なっていきます。

「利益 = 売上 ー 経費」ー①

利益分解法のスタートは利益を分解することから始まります。利益を分解すると売上と経費に分解できます。売上や経費に馴染みがない方は、売上を入ってきたお金、経費を出ていくお金、利益を残ったお金と考えてください。

次に、売上と経費を分解していきます。ここでは売上のみを分解していきます。理由は、経費に関しては一般化が難しいです。業態によって経費の分解をした形は大きく変わっていきます。一般化して分解しようとする会計の販売費及び一般管理費の科目を並べる事になります。

また、マーケティングでのプロジェクトに参入する場合、経費の削減やリストラの実行などはマーケターに求められる事はありません。ビジネスモデルの理解という部分では経費の分解も大事ですが、売上の分解を参考に把握したいビジネスモデルに合わせて分解してみてください。

それでは、売上を分解していきます。

「売上 = 平均顧客単価 x 成約数または成約者数(以降は成約数)」ー②

言葉遊びに近いですが、平均顧客単価が売上を成約数で割った項目になりますので、それに成約数を掛けたら売上に戻ります。

いきなり分解が飛躍していると思う方もいるかもしれませんが、コンビニで商品が売れていくところをイメージしてください。

3人がレジで待っているとして、それを店員が精算します。売上は売れた商品の価格の合計となり、平均を用いると、平均単価に販売個数を掛けたものと平均顧客単価と購入者を掛けたもので表現も可能です。しかし、一般的に人間が介在しないビジネスモデルが無いので、平均顧客単価と購入者を選び、「購入」と言葉を「成約」に変えれば上の式になります。

実際に分解を行なっていく場合は、具体的なビジネスモデルをイメージして分解をしていくので、頭の中のイメージを冷静に考えると、しっかり利益分解は可能です。

それでは、上の式をさらに分解していきます。

「売上 = 平均顧客単価 x 見込客数 x 成約率」ー③

成約数の部分の分解を行なっただけです。同様にコンビニを例に出すなら、100人が来店し、その内75人が商品を買いました。1人当たりの購入単価は750円でした。このような場合、平均顧客単価が750円、見込客数が100人、成約率が75%となります。

売上の分解もここで止めます。一般的な株式会社のビジネスモデルを想定すると、成約率は企業のノウハウと言われる部分に該当することになりますし、ここら辺で止まると思います。

例えば、売上があがる経路にの違いを考えると、実店舗を持っていて、ECサイトも持っている場合、その場合のノウハウである成約率の分解が実店舗とECサイトで同じ項目に分解はできません。なので利益分解法の計算式は実店舗用とEC用の2つの式に分かれます。

利益分解法の分解のやり方の注意点

利益分解法に関しては、必ず利益からスタートして、徐々に分解を行ってください。そして、慣れるまではそれぞれの段階を記録に残すようにしてください。

「利益 = 売上 ー 経費」ー①

「売上 = 平均顧客単価 x 成約数」ー②

「売上 = 平均顧客単価 x 見込客数 x 成約率」ー③

利益から分解するのは、分解してきた項目の全てが利益という目的に関連している事を意識づけるためです。

次に、徐々に分解するというのは、上の式の②の式を飛ばして、どこにも記録せずに③を書くような事はしないように注意するという事です。

理由は言語化して他者と共有する際に分解が飛躍している場合、情報共有ができない可能性があるためです。また、1人で行っている場合でも、数字を解析する際に、常に一番細かい分解の粒度で見ると非効率な場合があります。例えば、先月と比べて成約数がどのくらい変わったのかという事が知りたい場合、②の式を使う方が楽です。

多人数でマーケティングを行う場合は、報告する人によって必要とする分解の粒度が異なる場合があります。例えば、売上だけが欲しい役員、顧客数だけが知りたい上司、成約率だけが知りたい先輩と人によって欲しい数字が異なります。売上だけが欲しい役員に見込客数の増減を報告しても、うっとしい顔されます。もちろん、先輩から役員まで1人で報告する事になる人は稀だと思いますが、無くはないです。

また、注意というより、テクニックになりますが、引数を使って数式を強化する方法もあります。

もちろん因数分解と同様に全て足す、引く、掛ける、割るの四則演算で表現できればいいですが、見込客数に天気の要素が入ってくるとします。デリバリーピザが雨の日に注文量が多くなるのは有名な話です。

1時間当たりの降水量と見込客数が計算式で表せればいいですが、そうでない場合は引数として数式の中に入れてしまいます。引数と言っていますが、その項目影響を与える要因だと思ってください。

「売上 = 平均顧客単価 x 見込客数 (天気、コロナの感染者数、etc…)x 成約率」ー③

数学の「y=f(x)」におけるxだと思ってもらえればいいので、この場合の見込客数は下記の計算式になります。

「見込客数 = f(天気, コロナの感染者数, etc,,,)」

あくまで数学で統一するとこのように書けるというだけなので、「見込客は『天気とコロナの感染者数と…』に影響を受ける」という一文をどこかにメモするだけでも問題ありません。

利益分解法のやり方で分解の粒度の目安

利益分解法の分解の粒度は訓練などが目的であれば、時間が許す限り分解して、これ以上は無理と思うぐらいまで分解してみるのがベストです。

ただ、実務で関わっているビジネスモデルを利益分解法で分解するときの分解の粒度は、自身の実務に合わせて調整してください。あまり、細かくし過ぎても実務では使えません。

利益分解法の使い方

利益分解法で利益を分解してきましたが、どういう風に使うのかという事を説明します。早速ですが③の計算式を再度書きます。

「売上 = 平均顧客単価 x 見込客数 x 成約率」ー③

ここで、売上を増やすにはどうしたらいいか考えてみます。

  • 平均顧客単価を上げる
  • 見込客数を増やす
  • 成約率を高める

という意見が出てくると思います。

③の数式の場合、全てが掛け算なので、見込客数を1.2倍なれば売上が1.2倍になる事がすぐにイメージができる点が私が数式による分解をお勧めする理由です。

計算式から各項目をどうしたら利益(売上)が上がるのがイメージできました。そうすると次は、平均顧客単価を上げるためにはどうすればいいか、見込客数を増やすにはどうしたらいいか、成約率を高めるにはどうしたらいいかという議論が可能なります。そして、利益分解法なのでその全てが利益と関連していることが明白です。

利益分解法に数字を入れるときの注意

利益分解法は利益を分解していくことで、ビジネスモデルを理解し、分解した項目をどのようにすれば利益が良くなるのかイメージがしやすくなります。

数式なので、実際の計測した数字を数式に代入することができますが、ここで2つ注意が必要です。

  • 集計期間を明示する
  • 集団を分ける

実際に数字を入れようとすると必ず出てくる問題です。

「集計期間を明示する」は、その数字は1週間を集計した数字なのか、1ヶ月の数字なのかは非常に重要です。実際に数字を入れる際はその数字の集計期間も気をつけましょう。

次に「集団を分ける」は、その数字はF1層の数字なのか、M2層の数字なのかという事です。Fは女性、Mは男性を表し、その次の数字は年齢層を表しますが、詳しくは検索してください。ここで言いたいのはマーケティング施策において重要なターゲット層の設定を行なっていると思いますので、その集団ごとに分けて数字を入れると事です。

全体把握のために、ターゲット層に分けずに全ての集団をごちゃ混ぜにして集計した数字を使ってもいいですが、正直、あまり意味の無いレポートになるので、会社に提出のルールが無ければごちゃ混ぜ集計した数字はお勧めしません。

今回は数字を代入する際の注意点として、時間と集団という要素を話しましたが、分解においても時間と集団の要素を入れると分解の粒度が変わったりします。

例えば、時間を長くすると平均顧客単価はLTV(Life Time Value)となって、顧客生涯価値と考えることができるようになります。集団においても高校生などはSNSの利用が活発なため、見込客の要因として企業側が設定したハッシュタグの投稿の数なども考える必要が出てきたりします。

利益分解法の3つの例

実際にいくつかのサンプルに利益分解法を使っていきたいと思います。上で分解の過程はしっかりと記録をとるとしていますが、それを行うと非常に長くなるので省略するところは省略しています。分解の粒度は粗めです。例を出して分解の雰囲気が把握できればいいと思っています。

ウェブ制作会社の受注生産に対する利益分解法の例

ウェブ制作会社で自社ホームページのフォームからのお問い合わせが来て受注というビジネスモデルを考えます。

  1. 利益 = 売上 ー 経費
  2. 売上 = 平均顧客単価 x 見込客 x 成約率
  3. 売上 = 平均顧客単価 x ホームページへのユニークユーザー数 x (1 ー 直帰率) x 遷移率 x (1 ー フォームの落ち率) x 問い合わせの返信に対する返信率 x 受注率

ユニークユーザー数:ホームページに訪れたユーザー数(集計期間における重複なし)
直帰率:ホームページに訪れて、何もせずにgoogle検索に戻ってたり、ブラウザを閉じたり、タブを閉じたりした人の割合
遷移率:直帰せずにお問い合わせフォームまで到達する人の割合
フォームの落ち率:フォームにたどり着いたが最後までお問い合わせをせずに入力を辞めてしまった人の割合
問い合わせの返信の対する返信率:お問い合わせをしてきた人のうち、お問い合わせに対して担当者から返信をして、それに対して返信をしてきた人の割合
受注率:返信してきた人のうち、契約を結んだ人の割合

ウェブ解析で用いる専門用語が入っていますが、説明を確認ください。

ホームページへのユニークユーザー数(以下、UU数)から受注率まで、各項目ごとに人の数が減少して先ぼそりになっていくのがわかると思います。漏斗をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

フォームの落ち率に関しては、実際に用意されているフォームの内容を考えると、名前の入力率、会社名の入力率、Emailの入力率などの入力欄ごとに細かく分解は可能です。

利益を上げるためには、各項目を改善すればいいわけです。改善案はブレスト形式で出せるだけ出します。

3の計算式でUU数が増えれば利益が増えるので、UUを増やすには広告を打つ、SNSから流入させるなどが考えられます。しかし、この時に経費であったり、人的コストを考えると案出しが鈍るので、考える事はどうやったらUU数が増えるかの1点のみです。UU数を増やすという点では日本への移民を増やすという突飛な意見があっても面白いかもしれません。それが採用されるかどうかは別としてです。

引数という考えを用いるならば、UU数の引数には各種のSNSのフォロワー数や検索エンジンの自社に関連するキーワードの表示順位などが挙げられます。上の計算式に引数を書くと式が読みづらくなるため省略しています。

実店舗における小売に対する利益分解法の例

次は実店舗における小売のビジネスモデルを考えます。

  1. 利益 = 売上 ー 経費
  2. 売上 = 平均顧客単価 x 見込客 x 成約率
  3. 売上 = 平均単価 x 1人当たりの商品購入数 x 来店者数 x 商品の発見率 x 商品を手に取る率 x レジを見つける率 x レジまで商品を運ぶ率 x 決済をして購入する率

小売は私も想像で分解していますが、こんな感じです。

分解した結果を改めて見ると、お客が店に入ってレジで購入するまでの一連の流れを書いている感じになりました。

もし、私の考えと異なっていても全く問題はありません。各分解した項目について、改善するにはどうしたらを良いかを考えたときに改善案が出てくるかどうかがポイントになります。

平均単価の改善について考える

平均単価の改善について考えてみます。

  • 商品の単価を上げる
  • 単価の高いものを買わせる。

上の2点は実行できれば必ず平均単価は上がりますので、それを実現するためにどうするかを考えることができます。

単価の高いものを買わせるを考えると、来店特典として、福引クーポンを実施し、そのクーポンには単価が高い商品のみの5%引きなどを入れるという事も考えられます。

1人当たりの商品購入数の改善について考える

1人当たりの商品購入数について考えてみます。

  • 商品を抱き合わせて購入させる
  • 小物や新作などで興味を引いて購入させる

商品の抱き合わせは、コンビニでおにぎりの横に温かいお茶などの飲み物が売っていると思いますが、私をこれを抱き合わせと呼んでます。他にも、カットサラダのところにドレッシングや豚肉売り場に生姜焼きのタレが売っているのも抱き合わせです。

レジ前の近くにお菓子売っているのは、小物を買わせています。数千円の買い物していると数十円のチロルチョコぐらい買っても会計にそこまで変わらないかと思わせていますよね。

また、新しいもの好きの人は一定数いるので、レジ前や必ず通る道に新作の出るスピードが早い商品を陳列するのも有効だと思います。

決済をして購入する率の改善について考える

最後に決済をして購入する率について考えます。

  • 支払い方法の種類を増やす
  • レジまで持ってきた商品に対してお金を持ってくるまでキープしてあげる

現実として、ここの改善案を考える場面になるのは、計測して数字を出して、決済をして購入する率が悪いという結果が出た時に改善案を考える事になるとは思います。

アルバイトに対する利益分解法の例

最後はアルバイトのビジネスモデルを考えます

  1. 利益 = 売上 ー 経費
  2. 売上 = 時給の単価 x 稼働時間

自分でアルバイトのビジネスモデルを提出しておいて、分解できるのはここまででした。

また、稼働時間は1日24時間なのでサイボークでも稼働時間の上限は24時間になります。リモートワークで隠れて同じ時間に複数箇所で働く事ができれば稼働時間増やせるかもしれません。

時給の単価の改善は単価が高いアルバイトを選ぶぐらいでしょうか。

まとめ

利益分解法とは何かについて説明をし、分解のやり方と分解した式をどのように活用するのかを書きました。

また、3つの例を出して、雰囲気はわかってもらえたと思っています。

私みたいにTVのCMを見てその企業のビジネスモデルや商店街のお店のビジネスモデルを想像して分解してを繰り返してもらえれば、すぐにかなり細かい粒度まで分解できるようになるとおもいます。

読んでいただいてありがとうございます。

2021/7/2追記:ここで私が説明した平均顧客単価はARPU(Average Revenue Per User)という考え方がある事を見つけました。ARPUやARPPUと検索するとビジネスモデル把握の方法も見つける事ができると思います。

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